こんにちは、オグです。このブログでは仕事のことだけでなく、日常の話題も発信していきます。ここから書くのは会社とは関係のないお話。
先日、用事があって東京のほうへ行って参りました。いろいろ目的はあったのですが、その1つが、「明朝体の教室」の冊子に関する打ち合わせです。(→連続セミナータイポグラフィの世界 明朝体の教室)
「明朝体の教室」というのは、阿佐ヶ谷美術専門学校にて行なわれている連続講座のひとつです。游書体やヒラギノ書体を制作した字游工房の書体設計士、鳥海修さんが講師となって、これまで明文化されてこなかった、明朝体のデザインにおける方法論・問題点・疑問点を明らかにしていきます。聞き手は、漢字編が小宮山博史さん(書体設計士・書体史研究家)。かな・カタカナ・約物・濁点半濁点・欧文数字編を日下潤一さん(ブックデザイナー)が担当しています。
昨年末に無事最終回を迎えたこのセミナーですが、セミナーが行なわれるたびに、前回セミナーをまとめた冊子が配布・販売されており、来月全16巻が完成します。次世代のタイポグラフィに関わる方達にぜひ読んでいただきたい貴重なアーカイブです。2021年6月に、日下さんより「冊子の索引を作りたいので手伝ってほしい」とメールでご依頼いただき、小さく水面下で、かつリモートで〈索引プロジェクト〉が進行していたのでした。
私はこのブックデザイナー日下潤一さんの大ファンです。学生時代に、氏が25年間(1989~2014年)アートディレクションを続けた雑誌「芸術新潮」、また当時発行された書籍「タイポグラフィの基礎」などのエディトリアルデザインに魅了され、お話をうかがったり事務所にインターンしたことをきっかけに、交流をさせて頂いています。
日下さんがデザインした本は数あれど、「五体不満足」(乙武洋匡/講談社)・「孤独のグルメ」(久住昌之・谷口ジロー/扶桑社)(1巻・新装版・2巻)・「ドーナツブックス」(いしいひさいち/双葉社)・「ぼのぼの」(いがらしみきお/竹書房)「ブッダ」(手塚治虫/潮出版社)などなど、一家に一冊レベルの本がたくさん。そして書体に対する審美眼が鋭く、文字組も徹底されているため、どのデザインも古く見えないのがすごいです。どれだけ文字組に徹底しているかというと、芸術新潮などの詰め組み(デジタル印字)を、DTPとなっても写植屋さんに外注していたくらいです。そのほか、書籍の本文組版に対する仕事もとても繊細で、さらにさらに、配色もとても美しく、仕事を見るたびに感嘆のため息が出ます。
昨年、「ヒラギノ丸ゴオールド」という書体がリリースされ、モリサワパスポート等にも入りましたが、この仮名はもともと、日下さんのデザインのために小宮山さん(前出)が書き起こしていたものを、合同会社おりぜの岡澤慶秀さんが引き継ぎ、フォント化したものです。ずいぶん前から、毎月新聞に載る「双葉文庫」の広告や、土屋賢二氏の文庫本表紙などでも使われていたので、見たことのある方も多いのでは。
→表情豊かで、どこか懐かしい新書体「ヒラギノ丸ゴ オールド」を詳しくご紹介 | ヒラギノフォント公式note
ちなみに日下さんは1949年生まれ。設立した事務所「ビーグラフィックス(B GRAPHIX/BGX)」は、10年間アシスタントを務めた赤波江春奈さんが後を継いでいます。最近は公式サイトも完成。どれもこれも美しすぎるデザインの数々なのでみなさんぜひ覗いてみてください。→https://bgraphix.com/
……索引のことを書くつもりが、日下さんとビーグラフィックスさんのことばかり書いてしまった。索引のことをどこまで書いて良いか分からないのでご容赦願いたいのですが、打ち合わせは中華街にて、日下さん、赤波江さん、また同教室実行委員の上杉望さんとの4人でおこないました。
初めての中華街。どれだけ中華中華しているのか。「中華街って言うけど、実はちょっとだけ中華屋さん多いですレベルなんじゃないの!?」と、無知を盾に高をくくっていたのですが、もう本当に中華料理屋さんばかりだった。しかもテレビで見たことのある「門」が本当にあるし。会社の先輩(字が爺さん)は、子供のころ特撮を見て「毎週東京が本当に破壊されてるのかと思った」そうですが、それはフィクションに過ぎなかった。しかし中華街は実在していた! ……めちゃめちゃ混んでおり、コロナウイルスもびっくりしていたと思います。
打ち合わせと雑談はとても楽しく、料理もとても美味しかった、ごちそうさまでした。現社長の赤波江さんより、ビーグラフィックスデザインの谷口ジロー展のパンフレットと、沢知恵さんコンサートのチラシを頂き、たいへんうれしいのでパシャリ。
索引はまだ制作中。なんとか制作せねば。これまでの冊子は以下より購入できます(→連続セミナータイポグラフィの世界 明朝体の教室)
そして今回のブログは文字数が2000文字近くに……。まだまだ書き足りないんですけど……。
次回は話変わって東京・吉祥寺のkawaiiスポットについて書くので、お楽しみに!!! かわいいぞー。
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